小話

□中学生×家庭教師
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「……………あ」


沈黙。

人識君がいた?
思わず戸を閉める。

「ちょ、待って閉めないで!」
「はい」

僕は勢い良く戸を開ける。

低めの身長。
ぶかぶかの学ラン。
長めの髪。
顔面には刺青。

紛れも無く零崎人識本人がいた。


「……っくりしたぁ………」
「そりゃこっちの台詞だ。何故家の前で元生徒が死んでるんだ?」
「ツッコミ所が多過ぎて怒るに怒れないだろ?つーか勝手に殺すな」
「とりあえず警察呼べばいいのかな」
「マンボウネタはもういいよ!」
「君の牛乳なら全部飲んじゃったぞ」
「…なんかエロいな……」
「中学生かよ」
「中学生だし」
「で、何の用?」
「あ……おう」
「何今思い出したみたいな顔してんだよ」

数日ぶりの再開。
そうだ。僕らの関係はそもそもこんなくだらない雑談を楽しむ仲だったはずだと、今更のように思い出す。
目の前の人識君を見つめる。
彼は鼻を真っ赤にして白い息を吐いていた。

「……ていうか、いつからそこにいたの?外寒いだろ」
「あー…三時間くらい前から…あと5分ノックできなかったら帰ってた。あと隣の人に妙な目で見られた」
「当たり前だろ。アホじゃないの君」

あまりに馬鹿馬鹿しい行動に呆れてしまうと同時に、
中学生らしい子供っぽさに和んでしまった。

「とりあえず、入れば?」
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