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【もしも沖田さんが沖田さんに出会ったならば…】

「さ、今日も異常無しですね」

新撰組の羽織を風に靡かせると同時に長い髪の毛がサラサラと揺れる。
屯所に帰って来ると、解散し、皆がそれぞれ散って行く。

着替えようと自室の障子戸を開く。……と、

「え……?」

ぴったりと戸を閉じる。
そして、ゆっくり中を覗き込む。

「ねえ、君…誰?」
「いえ、あなたこそ…どなたですか?」

翡翠色の瞳をした、栗毛の男性が座っていたのだ。
二人共瞳を閉じる事無く、殺気を込めた視線を交わらせる。

「「…………」」

しーん、とした空気の中、鳥の囀りだけが耳に届く。

「沖田さん、いらっしゃいますか?」

山崎さんの声に、目の前の男を見つめたまま返す、と

「はい」
「何?」

二人の声がぴったりと重なった。山崎さんが、失礼しますと声を掛け、戸を開いた。

「どうして君も返事する訳?」
「私は、沖田総司だからですよ」

長い髪が、サラリと揺れる。
山崎は、頭を抱える思いだった。
まさか、他世界の『沖田総司』が来るとは思わなかったからだ。
斎藤一が何やら一人でブツブツ言っているのを聞いたところ、「他世界の沖田さんが来る」とはっきり言ったからだった。冗談では済まされない。
栗毛の彼が、ここにいると言う事は、元の世界に沖田さんはいない訳で……。









「ん……?」

眩しさに瞳を開くと、障子戸が開かれていて、市村鉄之助が元気な声で山崎の名前を呼んでいた。

なんや、夢か……。

からだを起こすと、この世界の沖田と栗毛の男性が姿を現した。

「…なんでやねんっ!!」

屯所内に響き渡るのは、山崎の叫び声だった。



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沖田さん視点からいつの間にやら、烝君視点に……。
しかし、書き直すつもりはありません←
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