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□ありがとう
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「雨・・・」
ポツリと呟く。
あの日の今日も雨だった。
君は覚えていないかもしれないけど、俺は覚えてる。
初めて会った日も、初めて一緒に帰った日も――。
何もかも覚えてる。
初めて手を繋いだ日も、こんな天気だった。朝からずっと雨が降っていた。傘もささずに手を繋いだけど、恥ずかしくて顔を見れなかったんだ。
ただ、君の手から伝わる温もりが心地よくて・・・。
遠くから聞き覚えのある声がする。
「10代目〜!」
にこにこ笑っちゃって。
俺まで口元が緩んできちゃうよ。
「獄寺君!」
君に言いたい事があるんだよ。
それは―――。
「いつもありがとう!」