ベイブレード2009本編

□ベイブレ2009序章
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0-1. 家族
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「3、2、1、ゴー・シュート!!」


小鳥がさえずり、草木がさわさわと風になびき、暖かな日差しの降り注ぐ庭…。

私達はもう、その場所へは戻れない…。


優しかったお父様、お母様、可愛い妹…。病弱だったお母様の養生の為に私達は空気の澄んだ静かな森の中のお屋敷に暮らしていた。

「おねえちゃん、もういっかい!」

妹のイリアはいつでも私の後を付いてくる。今日もお父様から頂いたベイブレードの相手をするようにせがむ3歳のイリアの小さな手は、そのベイを持つには少しばかり早すぎるような気がする。

「もう、イリアったら…今日はもうおしまい。そろそろ勉強の時間だよ?」

「やー!おねえちゃんともっとあそぶのー」

駄々をこねて座り込んだイリアの前にひざまずいて、3時の約束をする。そうすればイリアの機嫌は元通り。

「イリアのお勉強終わるまでにお母様とケーキを作って待っててあげる」

ぱぁっと輝くイリアの顔を見ると私は何だか温かい気持ちになる。イリアの手を引いて屋敷へ戻り、私たちは並んで宿題を始める。通信教育で初等部の授業を受ける私の宿題は幼等部の妹のそれより難しい。けれど、あまり勉強の好きでないイリアより、いつも先に終えて、キッチンへ向かう。
木漏れ日を浴びて安楽椅子で編み物をするお母様が私を見る。

「エリス?お勉強はもう終わったの?」

「はい、お母様。イリアが終わるまでにケーキを作りたいの。お手伝いしてくれる?」

「ええ、もちろん」

優しく微笑んで、お母様は立ち上がる。真っ白のワンピースにラベンダー色の髪がすごく綺麗。柔らかい日差しを受けてきれいに輝くお母様を見て、私はいつも思う。

「ねぇ、エリスもいつかお母様みたいなお母さんになれる?」

「そうね。エリスは母親似だから…きっと」

ふんわりとした太陽みたいなお母様が、大好き。
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