ベイブレード2009本編
□1-6. 始まり
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「……何よ。そりゃ、私はエリスと比べたら料理上手じゃないし、おしとやかでもないけど、私だってやれば出来るんだから!」
いつの間にか、エリスを認めている事にヒロミはくすぐったさを感じていた。
「……分かってる…大丈夫よ」
ヒロミがペンションに戻った時、ちょうどヴェルの宅配トラックが立ち去る処だった。それを見送るエリスの後ろからヒロミはそっと近づいた。驚かしてやろうと思ったのだ。しかし、その刹那、エリスの表情を見てヒロミは動きを止めた。
「……!ヒロミちゃん…」
ヒロミに気がついて振り返ったエリスはいつも通りの柔らかな笑顔でヒロミを迎えた。
「ちょうどよかった。お夕飯作る前に洗濯もの取り込もうと思って。手伝ってくれる?」
「も、もちろんよ!」
ヒロミはさっき見た一瞬を気のせいだと思う事にした。今まで見た事のない、冷たい眼をしたエリスは錯覚だったのだと、そう思った。