ベイブレード2009本編
□1-3. 友達
2ページ/4ページ
遠くでゴロゴロ聞こえる音…気のせいだと思い込ませて、エリスは急いで買い物を済ませた。買うものを買って、後は戻るだけ…と言う時になって、ついに大粒の雨がエリスの額に当たった。
あっという間に大雨の襲来だ。
「…急にこんな…急がなくちゃ」
夕立を知らなかったエリスはいつ止むとも分からない夕立が去るのを雨宿りでやり過ごそうとは思わなかった。タカオ達がお腹を空かせて帰ってくると分かっていたからだ。
ゴロゴロゴロゴロ…
とてもとても、不吉な音を聞いた気がした…。その時だ。
ピシャー!!
「――ッ!!」
エリスは思わずその場に耳をふさいでしゃがみ込んだ。
「……ッ」
どれくらい経っただろう。恐らくは、ほんの数分だ。本降りの夕立の中で雷はひっきりなしに鳴る。
「おい、何をしている」
不意に叩かれた肩。恐る恐る見上げた先に、カイがいた。
「カ…イ…」
「何をして…」
ピシャー!!
「――ッ!!」
咄嗟に、エリスは立ち上がると、さっさと歩き始めた。カイは突然のエリスの行動に内心驚きながらもため息をつくとエリスの細い手を掴んで近くの屋根の下まで連れて行った。
「早く、帰らないと…」
「直ぐに止む。ただの夕立だ」
「夕立…?これが…」
夏の風物詩と言われて、花火か何かのような「悪くないもの」を思っていたエリスには寝耳に水だった。暫くして、雨が小降りになった頃、タカオ達の声が聞こえた。
「おーい!!」
「エリスちゃーん」
「あれ?カイも一緒だったのか」
傘を持ってはいるものの、先ほどまでの大雨の中を走ってきたせいで全員びしょ濡れだった。
「ああもう!ちょっとエリス!!」
駆けつけてきたヒロミは真っ先にエリスに怒鳴った。
「夕立くるって言ったのに、何で傘も持たずに出掛けるのよ!!?」
「え、あの…」
「挙句になかなか戻ってこないし!なんだってまだこんな商店街近くにいるのよ!!?心配するでしょうが!!!」
ヒロミは、頭に血が昇って自分がいかに理不尽に怒っているか気付いていないようだった。