ベイブレード2009本編
□1-2. 強化合宿
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「「3,2,1、ゴー・シュート!」」
レイは初撃で驚いた。この細くて白い腕から放たれたベイのなんて力強いことだろう。それは、観戦していたタカオ達にも同じことだった。
「ドライガー!!」
「クレア!」
カンカンカンカン…!!
押して押される攻防が続く中、二つのベイが宙に舞った。ドライガーが着地までコンマ何秒か早かった。クレアが着地すると同時に、ドライガーがそれに体当たりした。
パシッとエリスはクレアを受け止めた。
「…流石、レイ君。強いね」
「いや、正直に言おう。すまなかった、エリス。少し甘く見過ぎていた」
「人は見かけによらないでしょう?」
クスクスと笑ってエリスが言った。
「わお。エリスちゃん、なかなか言うねー」
マックスは図星をついたエリスの鋭い指摘に感心していた。タカオも、エリスの力に興奮気味だった。
「鍛えればきっと強力なライバルになるネ!今まで何か大会に出た事はないの?」
「私は、ベイバトルはするより見ている方が好きだから。特にタカオ君、レイ君、マックス君、それに…」
「カイ?」
「ええ。世界大会の時もBBAチームのみんなは本当に見ていて楽しかったから、お近づきになれてすごく嬉しい」
屈託なく笑顔でそう言うエリスにタカオ達は照れ臭そうに笑い、それを見たヒロミは何だかご機嫌斜めだ。エリスが持参したケーキを切り分けた。当然ヒロミの前にも回ってきたそのケーキは、見かけだけならば自分の作るそれと同じくらい立派だ。そして、味は自分が作るそれと比べ物にならないほど美味しい。
「タカオ君のお祖父さんの分と、あと一人の分も取っておくから」
「エリスは食べないのか?」
「お土産で持ってきたものを食べるわけにはいかないよ。それにそろそろお暇する時間だから」
そう言って、エリスは小さなカバンを持って、帽子に手をかけた。
「どうせなら、カイに会っていけばいいのに」
マックスが気楽にそう言った。
「…そうしたいんだけれど、まぁ、また近いうちに会う事になるだろうから。…よろしくね?」
そう言って、エリスは木宮家を後にした。その夜、ランニングから戻ってきたタカオ達と会合から戻ったじっちゃん、そして何処からか戻ってきたカイを待っていたのは、エリスのケーキに触発されたヒロミが作った、見かけだけはいい夕飯だった。