ベイブレード2009本編
□1-1. 新学期
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その日の帰り道の事だった。始業式で盛大ないびきをかいたタカオは、新入生からもBBAの木宮タカオから一気に親しみやすい対象となった。しかし、その事でヒロミから小言をくらい、キョウジュは自業自得だと全く助ける気もない様子だ。そんな調子で家に帰る途中…。
「タッカオー!」
突然、後ろから誰かに抱きつかれた。知っている声だ。
「マックス!?」
「へへー。驚いた?」
「いつ日本に?マックス」
「ついさっき。まっすぐタカオの処へ来たねー。あ、レイも今日の便だって言ってたよ?」
なんてマイペースな、とあきれるヒロミとキョウジュ、しかし久しぶりの再会に大喜びのタカオは二人を置いて、マックスと駆け出した。仲間が日本に来る時に泊まるのは、木宮家しかないからだ。
案の定、居間でタカオの祖父と茶を啜り、まんじゅうに舌鼓を打つレイの姿がそこにあった。
「レイ―!」
「タカオ、マックス!元気そうだな」
一頻り再会のあいさつを済ませた頃にキョウジュとヒロミが追い付いてきた。じっちゃんは饅頭の追加を取りに台所へ向かった。
「手紙にも書いたように、俺のところにも大転寺会長から便りが届いてな」
レイは言った。
「大転寺会長のBBAも大分復興してきたんだろう?」
「はい。今年はまだ日本での世界大会を開くことは難しいみたいですが、全国からブレイダーを募ってそう小さくない大会も年に2回行う予定です」
「世界大会、か…懐かしいな」
「全くだ。次回の大会はまだ発表されてないけど、当然参加だぜ!」
「もちろんねー」
タカオの言葉にマックスは強く頷いた。
「ひょっとして、今度の合宿もそれを視野に入れているのかも知れませんね」
キョウジュの言葉にタカオは飛び上がって喜んだ。
「マジかよ!?うわ、俺ワクワクしてきた!!」
「こりゃ、タカオ!中学二年生にもなってはしたない!もっと落着きを身につけんか」
「じっちゃん、なんだよ。いいじゃねーか別に。俺は俺だ」
じっちゃんの竹刀を巧みによけつつ、タカオは言い張った。
「そういえば、前に会った時は夏休みだったから、制服見るの初めてネ。ヒロミちゃんもキュートね♪」
「ありがと、マックス。全く、タカオもキョウジュもそう言うのには本当疎いんだからー」
ふと、ヒロミがレイに尋ねた。
「処で、カイがどうしてるか知ってる?」
「ああ、実は2ヶ月くらい前にフラっと白虎族の村に来て、1週間ほど滞在して行った。今度の合宿についてはまだ分からないみたいな事を言っていたが…」
「…で、今はどこでどうしてるって?」
「何か、そのことには触れられたくないみたいで、帰る時もふもとの町までだったし」
「そっか…」
「ヒロミさん、カイに何か用があるんですか?」
「え!?いや、用ってほどの事でもないけど…みんなが此処にいるのにカイだけいないのはどうかなーと思って」
少しあわてた様子で、ヒロミはそう言った。
「まあ近いうちにふらっとやってきますよ。カイの事です。気にならない筈がありませんから」
キョウジュの言葉にほっとした様子で、ヒロミはそうよね、っと何度も頷いた。