ベイブレード2009外伝@

□初恋
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初恋、だったと思う。

最初は失礼な奴だと思ったし、タカオと同じくベイブレ馬鹿だと思った。

何より、あの目が気に食わなかった。冷たいようで熱いようで、鋭いまなざし。見つめられると息が詰まる。かといって、目の前にあれば見ずにはいられないような、そういう目。

私を映すその赤い眼は、彼のチームメイトを映す時と少し違った。街中を行きかう他人を見るときとも、タカオのお祖父さんを見るときとも違う。他人よりは近く、彼のチームメイトよりは遠い。それが、私と彼の距離。敢えて言うなら、タカオ達は彼の「戦友」で、私は彼にとって、「無害なもの」。何かあれば乗り掛かった船で助けてやる、って言う感じ。

気にかけてくれているのは分かっていた。

でも同時に、それが私の望むものとは違う事も知っていた。

それでもいいと思っていたのに、いざ、あの子が現れたら、駄目だった。

温かな笑顔も、綺麗な声も、可愛い仕草も、どれをとっても完璧で、理想的すぎて。だから私は意地悪をした。それが嫉妬と言う醜い感情だというのは分かっていたけれど。

雨の中、ずぶ濡れになって私に微笑む彼女を見て、泣きたくなった。

泣いて、ごめんなさいと叫びたくなった。
それをしなかったのは、微笑む彼女の方が、ずっと泣きそうな顔をしていたから。

優しさからくる彼女の強さは、彼女を縛り付け、脆くしていた。

そんな彼女だったから、私は彼女に惹かれていた。最初から、自分の淡い恋心なんて打ち砕くくらい、彼女に惹かれていた。素直になれなかっただけで、本当は。

「私はあなたの、友達でありたい。あなたが泣きたい時は、胸を貸せるひとでありたい。私はあなたの「戦友」になりたい」





ヒロミは結構かっこいい女の子だと思います。あの子は一緒に戦う、って宣言しておいて実は自分より人を優先してしまう危うさがあるけれど、ヒロミは信じて大事な人を戦場に送りだして、待つ事が出来る子だと思うのです。だから、大和撫子。

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