ベイブレード2009外伝@
□忠誠
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代々、榊那と言う家に仕える戸張家総領娘が選んだのは海の向こうの青い瞳を持った男だった。
5歳の時に両親が事故で亡くなって、本家に引き取られた。毛色の違う俺が唯一の直系の男子だった。表立った非難はなかったが、歓迎されていないのは年を追うごとにはっきりしてきた。
駆け落ちした娘と娘を海の向こうへ連れ去った男の面影を見て恥だと思うのは戸張の者たち。俺は、そんな「家族」が嫌いだった。
8歳になった時、初めて榊那 本家に呼ばれた。
そこで出会ったのは、俺が命を賭してでも守るべき姫君だった。
彼女は、細くて白いその腕と長く艶やかな色素の薄い髪を携えて、優しく微笑んでいた。
彼女の腰入れの時、俺が彼女付きとして選ばれた事が何より嬉しかった。戸張から出られることが、嬉しかった。……それが、間違った忠誠心だったとしても。
本物の忠誠心はインスタントじゃないんですよ