ベイブレード2009外伝@
□笑顔
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あいつの笑顔が変わったのはいつからだろう。
分かりきった質問だ。あいつの妹が居なくなって、状況を整理して、全てを受け入れて取り戻すための行動を起こすと決めた時からだ。
いつだって陽だまりのように暖かだったあいつの笑顔は、今だって変わらず暖かい。
けれど何処か氷のような冷たさを含んでいる。
…悲しみと寂しさを、あいつは笑顔で紛らわすようになった。代わりに、どんなに楽しそうでも嬉しそうでも、それは見かけだけになった。笑顔の仮面を纏って、あいつは壁を作る。
いつだって、妹を助けて、妹の笑顔を見るまでは自分が本当の笑顔を浮かべてはならないというように、とても上手にそのぎこちなさを隠して笑うんだ。
…そんな笑い方しかできなくなったと思っていたのに、お前は、たった数か月一緒にいただけのあいつらの前で笑うんだ。
私が3年間、ずっと望んでいた笑顔は、あいつらに向けられていた。
お前にとって私は、あそこでの暮らしを思い出させる要素でもあるのだろう。
それでも、私はお前の傍に在りたいんだ…。
私の存在が、お前を苦しめるのだとしても。
取り敢えず、リンは彼女が大好き。