ベイブレード2009本編
□1-17. 白虎族の一日
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そして夜が明け、4人は墓の周りを少しばかり片付け、ホワンの里を後にした。白虎族の村へ戻るのだ。
「ね、マオちゃんの事如何思う?」
エリスはひそひそと窺うようにリンに話しかけた。二人の前を、マオとヴェルが歩いている。
「如何って?」
「マオちゃん、一目会ったときからリンの事が気に入ってるみたいだから。…もしかして」
「本当に、お前の洞察力には感心するよ」
リンはため息をついて、頭を掻いた。
「確かに。巫女の素質があるよ、マオは。…黄麟の精気感じとって私に懐いてんだろうさ」
「……妬けるなぁ」
「はっ!?」
リンの素っ頓狂な声に、前を歩いていた二人が不思議そうに振り返った。
「何でもないよ?」
エリスが笑ってそう言うと、二人は肩をすくめあって再び前に向き直った。クスクスと笑うエリスをしり目に、リンは不機嫌そうにため息をついた。そしてエリスを見て、今度は少し寂しそうに微笑んだ。
一方、白虎族の朝は4人が里を発つよりかなり早くから始まっていた…。
「ねみぃ…」
タカオはさっきからそればかりを口にしている。
「まあ頑張れ」
レイが棒読みでそう励ました。
「エリス達が戻る前に夕飯も作っておいてやらないとな」
レイは独り言のようにそう呟いたのだが、それがつまりはきびきび働かないとなぁ、という意味だという事をタカオ達は瞬時に理解した。