ベイブレード2009本編
□1-12. 世界大会
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ヴェルを助ける為の襲撃作戦から一週間が経った。タカオ達BBAチームの面々は木宮家へと戻り、タカオとヒロミはいつも通り学校へも通っていた。キョウジュは家に閉じこもって例のデータ解析に没頭している。
「しかし何もないな」
レイが言った。
「何がネ、レイ?」
「俺たちのした事は目的が目的で相手が相手だったとはいえ、小さくない事件のハズだが…」
「あの土地には元々人気がないし、榊那と火渡が圧力をかければ多少の声はもみ消せるぜ」
リンが淡々と言った。
「いや、なんかもう世の中所詮は全て金で片付くみたいな言い方はよしてくれ」
レイが何かに失望したような声で言った。
「でも、ヴォルコフ達が何もしてこないのも意外ネ」
「ヴェルの奪還なんて、私たちしかする訳ないわ。犯人が分かっているから余計に何もしてこないのかも知れないわね」
エリスが麦茶を注ぎながら言った。
「念のためにお祖父さまがSPをつけてくれているけれど、常に見られている気がして嫌なのよね…」
「お嬢様たちはそれだけの事をして下さいましたからね」
ヴォルコフに鞭打たれた傷がまだ疼くヴェルはエリスたちのした事が自分の為でもあった為に申し訳なさそうに言った。
「あるいはあの仮面をつけたブレイダーの回復を待っているのかも知れん」
ずっと黙っていたカイが言った。
「可能性はあるな」
「特にアナスタシアって子にはタカオが痛いことしたからネ」
「加減した、って言っただろ?」
そこへタカオが学校から帰ってきた。ヒロミとキョウジュも一緒だった。
「おかえりなさい」
「ただいま、エリス。ヴェルさん、お加減はいかがですか?」
「幸い骨も折れていませんでしたし、殆ど回復しました。ヒロミ様たちのお陰です」
ヒロミの問いかけに、ヴェルは恭しく一礼して笑顔でそう言った。その笑顔を見てヒロミのほほが赤くなったのは気のせいではないはずだ。
「それより、朗報ですよ!みなさん!!」
キョウジュは待ちきれない様子でそう言った。