ベイブレード2009本編
□1-11. 攻防
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「見てください!カイ達です」
首尾よくメインシステムの制御室に侵入したキョウジュは設置された監視カメラの映像でカイ達がヴェルの救出に成功したことを確認した。予定では、このまま5人は脱出して、外で落ち合うことになっている。
「そんな事より、何か目ぼしい情報はないのか!?」
リンに怒鳴られてキョウジュはモニターに目を移した。膨大な量の研究データがそこにあったが、イリアに関する確かな情報は見当たらない。
「だめです…今、取り敢えずコピーできるだけ全部のデータを私のPCに移していますから」
「早くしてくれよ、キョウジュ」
タカオが言った。
「帰りもあの串刺し廊下を突っ切るんだから」
「分かってますよ!!」
「…それにしても、此処まで来るのにあんなにトラップがあった割に、此処は何もないんだな」
レイがリンに尋ねた。
「此処は一番大事なコンピューターがある。あんな野蛮なトラップはない。…心配しなくても、トラップを潜り抜けたことは察知されてるだろうから、直に誰か私らを排除しにくるさ」
「…そいつは楽しみだ」
レイは冗談にならないそれに、苦笑しながら答えた。
カツン…
その時だ。足音が響いた。
「一人、か…?」
「そのようだな」
タカオとレイが声を殺して壁際に立った。
「……敵を排除しますわ、お姉さま」
「――!この声は…」
その声を聞いたリンは、まるで信じられないものを見るかのように目を見開いて彼女を見た。その瞳は金色になっていた。
「知ってるのか?」
「まぁな…。…エリスがこっちじゃなくて幸いだな」
そこへやってきたのは一人の少女。仮面をつけているので顔はよく見えないが、その真っ白な髪と声と口調に間違いはない。
「アナスタシアだ…。イリアを崖から突き落とした張本人さ」
「しかし一人だぞ」
「そういう問題じゃない。私を培養液づけにする為に捕えたのも、多分、ヴェルを捕えたのもあいつだ」
リンがそう言ったのとほぼ同時に、アナスタシアはベイを放った。
「お姉さまの為に!ナースチャは行きますわ!!」