ベイブレード2009本編
□1-10. 突撃
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「どう?みんな」
エリスは笑顔でそう尋ねた。
「美味いよ…!俺、すげぇ幸せだ!」
「本当に、エリスがいなくなってからの食事は悲惨だった…」
「ヒロミが無駄に食事作ってたからな…」
「ほっぺが落ちるとはこの事ネ!」
「レイやおじいさんの料理もよいですが、やはり一度エリスさんの料理に馴染んでしまうと比べちゃいますよね」
口々に紡がれる褒め言葉をニコニコと聞いてエリスはカイに振り返った。
「カイは?」
「………。」
ニコニコと笑顔を浮かべたまま、カイをのぞき込むエリスは無言でカイにプレッシャーを与える。カイの皿にはさりげなく隅に追いやられたニラが残っている。メニューは、ニラ玉だった。
「……。」
「…カイ?」
「…美味かったよ。御馳走様」
そう言うと、カイは食器を流し台においてさっさと部屋を出てしまった。
「次こそは必ず」
エリスはこぶしを作って小さく誓いを立てた。
「ていうかね、エリス、」
ヒロミが口火を切った。
「何だってこうもほのぼのしてるのよ!?」
「え?」
「ヴェルさんを助けに行くんでしょ、今夜!?」
「腹が減っては戦が出来ぬというじゃない?」
エリスの言葉に、レイが後を継いだ。
「図面は頭に入っている」
「シミュレーションもした」
「私も新たなベイを手に入れた」
「あとは、運と実力、ってな」
「わ、私も…頑張ります!!」
「ヒロミちゃん、」
エリスがヒロミの髪を撫でながら優しく言った。
「大事な皆を連れていくけれど、絶対に皆を無事に返すから。だから、待っててくれる?」
「……エリス…」
「心配でしょう?…ごめんね」
「私が心配なのは、エリスもよ」
「ヒロミちゃん…」
「いーい、あんたたち!!」
ヒロミはすっくと立ち上がるとタカオ達を指差した。
「全員無事に帰ってくるのよ!エリスも、リンも」
「……いい覚悟だ、立花ヒロミ」
リンが言った。
「大人しく「待て」を覚えないエリスも少しはこいつを見習え。ヴェルの心労が減るぞ」
「…善処します」
決行は、2時間後。各々がベイのメンテナンスに余念がない。他にも隠し玉は用意してある。
「行こうぜ、皆」
「ああ!」