ベイブレード2009本編
□1-7. 過去
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エリスが姿を消した翌日。朝からの大雨がタカオ達をペンションに引き込ませていた。すぐさま大転寺に連絡をとったが、何の進展もなかった。彼女は再びの来訪を予告し、カイは朱雀を奪われたのだ。
「……だめです…通じません」
大転寺は教授からの連絡を受けてからずっと榊那家へ連絡を試みていたが会社では門前払いを食らい、自宅もロシアチームの施設も何処も全く不通になってしまっていたのだ。
「どういう事なんだよ、おい!」
タカオは納得できない怒りを持て余していた。レイたちも同じく、ヒロミも信頼しかけていたエリスに裏切られたとショックを隠しきれずにいる。
「カイ、一体どういう…」
「さぁな」
カイは、朱雀を失って何を思うのか、一人静かに窓の向こうの景色に目をやるばかりだった。雷鳴がとどろく外界を見て何を思うのか。ただ静かに時の流れに身を任せているようだった。
「…ボーグ出身だったんですね、エリスさん」
キョウジュが口を開いた。
「それにあの光…」
「聖獣、だな」
「でも、レイとやった時は聖獣なんていなかったんでしょ!?」
「ビットを外していただけの事でしょう」
冷静なキョウジュのセリフはヒロミとタカオをイラつかせた。
「おい、キョウジュ!呑気に機械いじってる場合じゃねぇだろ!?」
「そうよ!カイは朱雀を取られちゃったのよ!?」
「そ、そんなこと言ったって仕方ないじゃありませんか」
キョウジュは二人に押されながら、何とか言った。
「我々は…エリスさんの行き先にも目的にも全く心当たりがないんですから。あるとすれば…」
そう言って、皆の視線が再びカイに戻る。
「……俺たちは、エリスの事、何も知らないんだな」
レイがカイと同じ方を見ながらそう言った。
「…毎日美味しい料理を作ってくれて、いつも優しそうに笑ってた…それがフェイクだったって言うネ…?」
マックスも悲しそうにそう言った。
「皆をだましてた、ってことでしょう…!?」
ヒロミは、悔しそうにそう言った。