ベイブレード2009本編

□1-4. 到着
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無事にテストを切り抜けたタカオ達は、7月の終わり、北海道へと向けと飛び立つことになった。

「……そろそろ、時間なのに、タカオはどうしたネ」

「また寝坊か?」

「可能性は大ですね」

タカオを除く5人が木宮家の前でタカオが出てくるのを待っていた。

「あー…!くっそ。いや、実は急に枕つめ忘れてるのに気づいてよ―」

タカオがそう言いながら出てきた。

「まくら?」

「ほら、急に枕変わると寝られない、って言うじゃねーか」

「今さら貴様がそんなタマか」

カイが言うと、タカオがムキになって言い返す。

「何だと?俺だって繊細な処があるんだぞ」

「遅刻したらまずは謝れ」

カイに言われ、タカオは言葉に窮した。

「ちぇ、悪かったよ。ほら、出発しようぜ」

こうして、一行は羽田空港から直通で、千歳空港に降り立った。

「いい所だな―…」

「小さいけど長閑で素敵だね」

「合宿場所はどんな処ね?」

「何か俺、すっげーわくわくしてきたぜ!!」

「……騒ぐな」

カイが興奮気味の仲間を諫めた。

「キョウジュがもたん」

「…確かに乱気流にぶつかった時は驚いたけどな。…なぁ、キョウジュ」

「大丈夫?薬効かなかったのね…はい、お水」

「す、すみませ…」

キョウジュはエリスから受け取った水を飲んで、ソファにぐったりと横になった。

「迎えが来ている筈だが…」

「あー…レイ?あれの事かも知れないヨ」

マックスの指さす方を見れば、それは確かにBBA送迎バスこちら、の文字があった。

「バスか…」

タカオがキョウジュを見下ろしてつぶやいた。今のキョウジュがバスになんて乗ればどうなるかは目に見えている。

「そうだ。ね、キョウジュ君」

エリスに何かを耳打ちされて、キョウジュは躊躇っているようだったが、やがて意を決したように、しかしか細い声で「お願いします」と言った。それを聞いたエリスはパタパタと自販機にかけていくと、そこで何かを買って戻ってきた。

「……キョウジュ君、キョウジュ君」

エリスは優しくキョウジュを起き上がらせると、その飲み物をキョウジュに飲ませた。途端にキョウジュは顔を真っ赤にして、パタン、と倒れた。

「おい、それって…」

「地ビール」

半分以上まだ残っているそれを軽く振って見せて、エリスは笑顔で答えた。

「さ、キョウジュ君が起きる前に移動を終えてしまいましょう」

パンパン、と手を叩いてエリスは4人を促した。潰れたキョウジュは、荷物同様にカートに載せられてバスまで運ばれた。
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