ベイブレード2009本編

□1-3. 友達
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「…んー…」

「如何したのよ、エリス?」

ヒロミが体をひねって、テーブルで頭を抱えるエリスに尋ねた。

「今日のお夕飯、何にしようかと思って」

毎日献立を考えるのは大変だ。

「ヒロミちゃん、何食べたい?」

逆にエリスに聞かれて、ヒロミはつい本気で考えてしまった。

「そうねー…パスタとか、グラタンとか…イタリアンな気分かも」

「んー…」

エリスはすぐに冷蔵庫の中身を確認した。戸棚の中には十分なマカロニが入っていた。

「トマトがないな…あ、粉チーズ…これは早いうちに使った方がいいか…」

独り言を始めたエリスを見て、ヒロミは自分の案が採用された事を知った。ヒロミが思う以上に、エリスはヒロミを敵視なんてしていないし、されている事も気付いていないのか、気付かないふりをしているのか…。ヒロミは、突然BBAの中に入ってきた自分以外の女の子への抵抗を持て余していた。

「何か足りないの?」

「トマトが足りないみたい。トマトは夏がいい季節だものね。疲労回復にもいいし」

そう言って、キョウジュの鬼扱きで長距離ランニングから直に戻る筈の仲間を思った。

「なら、早くした方がいいわよ。夕立くるみたいだから」

「…夕立?」

「そ。夏の風物詩」

「……よく分からないけれど、夕方になる前には戻るね」

そう言って、エリスは財布とカバンを持つと、木宮家を飛び出した。それから間もなくして、タカオ達が戻ってきた。

「あれ、エリスさんは何処に?」

「夕飯の材料買いに言ったけど。あら、カイは?」

「ああ、寄る処があるとかで途中で別れた」

「ちょっとあまり遅くなると夕立がくるのよ?」

「…みたいだな。空、曇ってきたぞ」

レイが空を見上げて心配そうにそう言った。そして、やはりタカオ達の心配通り、エリスとカイの帰還より、夕立の襲来の方が先だった。

「おい、エリスは傘持ってたのか?」

タカオがヒロミに尋ねた。

「分かんないけど、夕立が来るとは言ったわよ」

まるで一人で行かせた事を責められるようないわれにむっとしてヒロミが答えた。が、すぐにヒロミはそれを伝えた時のエリスの返答を思い出した。

「……夕立…よく分からないけど、って!!まさかあの子!!」

ヒロミは急に立ち上がって、危うくキョウジュの大事なパソコンを踏む処だった。

「あのお嬢様、夕立が何なのか知らないんじゃ!?」

「はぁ!!?」

「もう、世話の焼ける…!!」

ヒロミは傘をひっつかんで飛び出した。

「おい、俺たちも行くぞ」

「もちろんネ」
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