ベイブレード2009本編
□1-13. 予選後
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「正確には去年の世界大会出場選手の人気投票です」
キョウジュが予備知識を与えた。
「…一位は、ブルックリン…?」
「あ、カイが2位でレイが4位。僕は7位ネ」
マックスはそう言って、その雑誌を手に持った。
「“ブルックリンはまるで白亜の王子様。優しげな表情とそれでも決勝で見せた勝負への拘りが好印象”成程ネ〜。ベイの実力も去ることながら、って感じネ」
「去っちゃダメだろ!?」
タカオが言った。
「二位のカイはなんて書いてあるんだ?」
レイがマックスに先を読むよう促した。
「んーと…“人を寄せ付けない孤高の騎士。守ってほしい人ナンバーワン。超美形クールなのに、ひた向きな姿に心打たれる”だって」
それを聞いてもカイはどこ吹く風で、外に人集りができていなければ散歩にでも出たい気分だった。一方のレイはそれを聞いて大爆笑だ。
「守ってほしい、ってカイにか!?何から?騎士って何だよ!?この悪そうな顔で…ははは…!!」
よほど面白かったのか、レイは息が切れてむせるほどに笑っている。それを見て、無視を決め込んでいたカイがマックスから雑誌を取った。
「“流れる黒髪、女と見まごう美しさで豪快なバトルをする姿に魅せられる。頼り甲斐がある。兄というより姉にほしい人ナンバーワン”だそうだぞ、レイ」
「――誰が女だ、お姉ちゃんだ!!」
レイは笑うのをやめて喰いかかった。
「知るか。下らん」
カイはそういうと雑誌をテーブルに投げ捨てて踵を返した。
「何処行くんですか?」
「…屋上」
カイはそう一言だけ残して階段の向こうへ消えていった。
「……なるほど。まぁいい。確かにこんなこと書かれるんじゃ、インタビューも嫌になるな、タカオ」
レイはそう言ってタカオの肩に手をやった。
「…じゃねぇ」
「ん、なんだ?タカオ」
「そうじゃねぇよ!!」
タカオは再びレイに喰いかかった。
「は?え、何が違うんだ」
全く事情の呑み込めないレイの肩に手をやって、ヒロミがやれやれといった風に言った。
「タカオだけ、トップ10漏れしてるのよ」
「「あ。」」
「何で俺、優勝者なのに!!彼女もいねぇのに彼女の事とか聞かれてもわかんねーよぉ!!」
「いや、俺だって別に彼女とかは…」
「マオがいるだろっ!!なのになんでモテてんだよ、おまえは!?」
「俺が知るか…大体、カイなんてあの仏頂面で二位だぞ?そっちの方が理不尽だろ」
「俺にとっては全てが理不尽だ―!!」
そう泣き叫んで、タカオは部屋へと駆け上がっていった。
「全く…しょーがないネ、タカオは。黙ってればまぁまぁモテる筈なのに、本人があれじゃ気付かないか」
そう呟いて、マックスは雑誌に目を戻した。
“その可愛らしい容姿で繰り出す大技。弟にほしい、友達にほしいナンバーワン。マヨネーズの売り上げに大貢献”
自分を表する文面を見て、マックスは満足そうに笑みを漏らした。