プルルルル.....
携帯電話の着信音に、少しまどろみかけていた意識が浮上する。
枕元にあったそれを手探りでつかんで電話に出ると、今年一年ですっかり聞き慣れてしまった声が聞こえた。
来年も君と。
電話の相手―高尾は開口一番初詣に行こうと言って来た。
ウチにはあまり、初詣に行く習慣が無く、行くのか?と聞いたら、行かないの?と逆に質問仕返されてしまった。
「神頼みはしたくないのだよ」
『はぁ?占い信じてるヤツが言うか?ソレ』
「馬鹿者、俺はつくせる人事をつくしているだけであって、神頼みをしている訳ではないのだよ」
そう言うと高尾は呆れたように笑って、神頼みするわけではないのだと言った。
『うん。言って見れば、その年一年の決意表明みたいなね』
オレも神頼みは好きじゃねーしな、とつけ加えられたら、もう断ることは出来ないと思う。
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