もし、僕の瞳の色覚細胞が三原色だけではなくもっと他の色にも反応していたなら、この世界はもっと美しくこの瞳に映るのだろうか。



下界への遠征で部下を失った時から、僕の世界は色を亡くした。
元々不活性の色ばかりの下界も、華やかな天界も、僕の目は灰色にしか映らない。

そんな時に少し毛色の違う人に出会う。上司であるはずの彼は不真面目で(僕も大概他人のことは言えないけれど)生きる事を心底楽しんでいる様だった。


そしてそれから少したったある日、遠征の命を受け、下界に出陣した。
予想を超える敵の数。不殺生を唄う天界のせいで殺すことが出来ないせいで一向に数が減らない。

冷たい雨の中死んで行った部下のことが思い出されて、自分自身を囮に敵をさそう。死ぬつもりはない、ただ部下を殺したくないだけ。

『お前と一緒に戦いたいんだとよ』
呼んでもないのに飛び込んで来たあの人。
激情に燃える瞳は、綺麗な綺麗な―――――




そして世界は色づくの
(貴方の真っ赤な瞳から)




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ブログに投下したものをちょっと手直ししてみた。
相変わらず散文←






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