いつも通り僕の部屋にやって来た彼が、今日は何か珍しいモノを持って来た。

「・・・何やってるんですか?」
「何って、リップ塗ってるんだよ」

リップクリームって・・・いや確かにこの時期乾燥しますし、女性なんかには必要なものなのかもしれないけれど・・・でもこの前に居るのは紛れもない男で。顔だって中性的でもないし(中性的だから良いという話でもないのだが)身体だってゴツイとまではいかなくても軍人らしく鍛えられている。そんな彼がリップクリームを塗る姿はぶっちゃけ・・・

「気持ち悪いです・・・」
「なっお前な、男だって気を遣わなくちゃいけない時代なんだぞ!」
「一体何のために気を遣うんです。チャラ男じゃあるまいし。」
「チャラ男って・・・俺はお前のためにやっているのに!」
「僕のため・・・?」
「俺とキスするとき、かさついた唇だったらいやだろ?」
「そのまま唇噛み千切ってやりましょうか」
「冗談ですスミマセン」
「まったく、で本当は?」
「唇が切れていてーんだよ」
「へー」
「お前にも塗ってやろうか」
「結構です」
「よし、結構なんだな、やるぞー」
「・・・それは悪徳商法の手口ですよ」
「気にしない気にしない(笑)」

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