気紛れ連載

□14歳少年正常論.
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あの頃君が縋る様に見つめていたのは、長方形に切り取られた空っぽの世界だった.




14歳少年正常論



ふう、と短い溜め息をついて、最後の部屋の前に立つ.渡り廊下と病室を繋ぐドアの小さな丸窓には、風に揺れる淡い水色のカーテンしか映っていない.

ノックもせずにそのドアを開ける.別に支障はないだろう.

「政宗君.回診に来たよ.」

伊達政宗.カルテによれば、年の頃は14.あまりに子供扱いするのも失礼だし、かと言って大人と同じ扱いをするのも酷な、難しい年頃だ.

名前を呼んでも自分の方を向きやしない.
彼は窓の形の変わり映えしない景色に心を捕らわれてしまっているのだ.

仕方がないので、自分が彼と窓の間に立つ.

「政宗君.調子、どうかなぁ???」

「…調子が良かったら入院なんてしてねぇよ.」

そう言って目を逸らす.小生意気なガキ、とは思うが、これ位の子供はみんなこんなもんなので、特に怒りはこない.

「ま、それもそうだね.」

彼の言葉を軽く受け流し、毎日の診察にかかる.

「それで、何見てたの???」

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