ユンジェ☆
□『秘めた心』
3ページ/26ページ
玄関の鍵を開けると、リビングのライトが付いているのが見えた。
入ると、ユノが携帯電話の画面を食い入るように見つめている。
「まだ起きてたんだ」
声をかけると、リビングに入って来たのにも気づかなかったのか、ビックリした様子で振り向いた。
「ぅわっ!!ビックリさせるなよ〜」
俺は冷蔵庫の扉を開け、ミネラルウォーターを取り出す。
「ジェジュ〜ン。聞いてくれよ〜」
少し情けないような声を出して、ユノが言う。
「彼女がさ〜、前の彼女のこと知ったらしく…現場で何言われたか知らないけど、メールの返事くれないんだよね」
ユノはよく、俺に彼女の相談をする…。同い年で仲がいいからだろうけど、今の俺にはとても辛いことだった。
「ユノが取っ替え引っ替え付き合ってるからでしょ。身から出たサビ〜」
ミネラルウォーターを口に含みながら、辛い気持ちを押し隠し…軽く言った。
「ぇえ〜、何でそんな冷たいこと言うんだよ〜、ジェジュン〜」
俺はユノの向かいのソファーへ座る。
「だってそうでしょ?3ヶ月続いたこと、ある?」
するとユノは、唸りながら言った。
「ぬぬ〜…。それは…。でもっ、二股は絶対にしないぜ?
それに、付き合う前は『この子とはぴったりくる!』って思うんだけど…付き合いだすと、何か違うな…って」
ユノの今までの彼女たちは、ほとんどが同じ芸能人だ。別れても、お互い秘密にしておきたいので、マスコミにも知られずにすんでいる。
「今回はどうなの?そろそろ2ヶ月が経つよね?」
さりげなく、俺は聞いた。
「ぅう〜ん…。こうやってメール返さなかったり、電話にでなかったりされるとな〜。過去のこと言われたって仕方ないじゃないか。女って面倒だよな〜」
頭をガリガリさせながら言い、俺の隣に移動してくる。
「それに、近くにこんな美人がいたら、他の女なんて霞むよ」
俺の肩に腕をまわし顔を近づけ、わざとらしく言う。
俺はそんな仕草に胸を高鳴らせるが、そんなことは表に出さないようにして言った。
「男で残念だったね」
にっこり笑って言うと、
「ホントだよ〜。俺のことよく理解してるし、ジェジュンだったらこんな面倒なこと言わないだろうしな〜。何で女に生まれて来なかったんだ?」
本当に…。女の子だったら良かったのに…。そうしたら、少しはユノに近づけた…?
「バカなこと言ってないで、明日も仕事なんだから早く寝るよ」
「は〜い。…って、ん?」
ユノは鼻を俺の首筋に近づけて言う。
「あれ?ジェジュン、今日はお姉さんたちと食事会だって言ってたよな?」
「えっ?うん…」
あまり顔をくっつけないで欲しい…。
「ソープの香りがする…。さてはジェジュン、お姉さんと食事会ってのは嘘で、女と会ってたな?」
「えっ…」
つい驚いてユノを見る。
「おっ!その顔は図星っぽいぞ〜」
俺は動揺を隠しつつ、立ち上がる。
「ユノじゃあるまいし、ちがうよっ」
「怪しい〜。俺は何でもジェジュンに言ってるのに、ずるいぞ〜」
ユノはブツブツと文句を言いだした。
「だからちがうって!ほら!明日も仕事なんだから、もう寝るよっ」
その後もしつこく聞いてくるユノを交わし、自分の部屋へ戻る。
焦った…。
近づきすぎるユノもだけど、…彼とのことがバレるのではないかと。
ユノに男同士の偏見が有るか分からないけど、俺が誰かと付き合っているということは、ユノには絶対に知られたくなかった。
ユノが男に興味が無いのは分かってる…。
絶対に俺の物にならないことだって…。
でも…、知られたくはないんだ…。
ユノにだけは…。