ユンジェ☆

□『秘めた心』
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玄関の鍵を開けると、リビングのライトが付いているのが見えた。


入ると、ユノが携帯電話の画面を食い入るように見つめている。


「まだ起きてたんだ」


声をかけると、リビングに入って来たのにも気づかなかったのか、ビックリした様子で振り向いた。


「ぅわっ!!ビックリさせるなよ〜」


俺は冷蔵庫の扉を開け、ミネラルウォーターを取り出す。


「ジェジュ〜ン。聞いてくれよ〜」


少し情けないような声を出して、ユノが言う。


「彼女がさ〜、前の彼女のこと知ったらしく…現場で何言われたか知らないけど、メールの返事くれないんだよね」


ユノはよく、俺に彼女の相談をする…。同い年で仲がいいからだろうけど、今の俺にはとても辛いことだった。


「ユノが取っ替え引っ替え付き合ってるからでしょ。身から出たサビ〜」


ミネラルウォーターを口に含みながら、辛い気持ちを押し隠し…軽く言った。


「ぇえ〜、何でそんな冷たいこと言うんだよ〜、ジェジュン〜」


俺はユノの向かいのソファーへ座る。


「だってそうでしょ?3ヶ月続いたこと、ある?」


するとユノは、唸りながら言った。


「ぬぬ〜…。それは…。でもっ、二股は絶対にしないぜ?
それに、付き合う前は『この子とはぴったりくる!』って思うんだけど…付き合いだすと、何か違うな…って」


ユノの今までの彼女たちは、ほとんどが同じ芸能人だ。別れても、お互い秘密にしておきたいので、マスコミにも知られずにすんでいる。


「今回はどうなの?そろそろ2ヶ月が経つよね?」


さりげなく、俺は聞いた。

「ぅう〜ん…。こうやってメール返さなかったり、電話にでなかったりされるとな〜。過去のこと言われたって仕方ないじゃないか。女って面倒だよな〜」


頭をガリガリさせながら言い、俺の隣に移動してくる。


「それに、近くにこんな美人がいたら、他の女なんて霞むよ」


俺の肩に腕をまわし顔を近づけ、わざとらしく言う。

俺はそんな仕草に胸を高鳴らせるが、そんなことは表に出さないようにして言った。


「男で残念だったね」


にっこり笑って言うと、

「ホントだよ〜。俺のことよく理解してるし、ジェジュンだったらこんな面倒なこと言わないだろうしな〜。何で女に生まれて来なかったんだ?」


本当に…。女の子だったら良かったのに…。そうしたら、少しはユノに近づけた…?


「バカなこと言ってないで、明日も仕事なんだから早く寝るよ」


「は〜い。…って、ん?」

ユノは鼻を俺の首筋に近づけて言う。

「あれ?ジェジュン、今日はお姉さんたちと食事会だって言ってたよな?」


「えっ?うん…」


あまり顔をくっつけないで欲しい…。


「ソープの香りがする…。さてはジェジュン、お姉さんと食事会ってのは嘘で、女と会ってたな?」


「えっ…」


つい驚いてユノを見る。


「おっ!その顔は図星っぽいぞ〜」


俺は動揺を隠しつつ、立ち上がる。


「ユノじゃあるまいし、ちがうよっ」


「怪しい〜。俺は何でもジェジュンに言ってるのに、ずるいぞ〜」

ユノはブツブツと文句を言いだした。


「だからちがうって!ほら!明日も仕事なんだから、もう寝るよっ」


その後もしつこく聞いてくるユノを交わし、自分の部屋へ戻る。





焦った…。

近づきすぎるユノもだけど、…彼とのことがバレるのではないかと。

ユノに男同士の偏見が有るか分からないけど、俺が誰かと付き合っているということは、ユノには絶対に知られたくなかった。


ユノが男に興味が無いのは分かってる…。

絶対に俺の物にならないことだって…。



でも…、知られたくはないんだ…。



ユノにだけは…。
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