ユンジェ☆

□『秘めた心』
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「ジェジュン、次はいつ会える?」


ベッドで煙草を燻らせながら、その男は言った。


「ん〜、明後日から日本だから、1ヶ月位は会えないかな?帰ってきたら連絡するよ」


シャワーを浴びた俺は、衣服を身に付けながら答える。


「まったく…、忙しい身の恋人を持つと苦労するよ」


ふっ…と笑い、その男を見た。


「それはお互いさまでしょ?今度映画の主役に抜擢されたらしいじゃない」


男らしく、いかにも女性に持てそうな端正な顔をした恋人。


「もうジェジュンの耳に入ってたんだ。驚かそうと思って内緒にしてたのに」


「同じ業界にいるんだからすぐ入ってくるよ」


手招きをして俺を呼ぶ。

近づくと腰に手をまわされ、キスされた。


「帰したくないな…」


啄むような優しい口づけを交わしながら、男がささやく。


俺は男の肩を軽く押した。


「ふふふ…、会えない時間が愛を深くするんでしょ?」


男から離れ、ジャケットを手にとる。


「…浮気するなよ」


あっさりと帰ろうとする俺に、彼は低い声で言った。


「忙しくてそんなヒマないの知ってるでしょ?」


微笑みながら答える。


「じゃ、またね」


何か言いたげな恋人を残し、部屋を出た。






タクシーを拾い、行き先を告げる。

窓に頭を傾け、移り変わる夜景を見ながら…ため息をついた。

付き合いだして、1年が経つだろうか…。
5歳年上の彼は番組で一緒になった後、俺に猛アタックしてきた。
最初はまったく相手にしていなかったけれど、彼の声だけは気になっていた。



似ているんだ…。あの人に…。


絶対に叶わない相手…。

いつも無邪気に恋人の話をしてくるあいつ…。それが辛くて…、悲しくて…、彼に逃げた。

彼はいつも優しく包み込んでくれる。


彼を…本当に好きになれたら、どんなに楽だろう…。
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