チャンジェ☆

□『想いの果て』
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今日は韓国のミュージック番組の収録。


リハーサルを終え着替えに戻る途中…、チャンミンとキスしていた子がいるグループとすれ違った。


挨拶をしながら通り過ぎる彼ら。
あの子はチャンミンを熱い視線で見つめていた…。


まだ、好きなんだな…。


そしておれの視線に気づいたのか、一瞬目が合う。
おれはとっさに目を反らしてしまったけど、その一瞬に冷たい空気を感じた…。


きっと、あの子は気づいているのだろう…。
あの時、チャンミンとあの子がキスしてる現場から逃げ出したおれ。それを必死に追いかけるチャンミン。

あの現場を見たら、何かあるって誰だって気づく…。

ましてやあの子はチャンミンを好きなのだから…。


あの子がチャンミンを好きな気持ちは誰にも止められない…。
チャンミンがおれだけを愛してくれてるって分かっていても…おれの胸に黒い嫌な気持ちが広がっていく…。



心が狭いんだな…、おれ…。




「ジェジュにぃ、どうしたの?気分でも悪い?」


暗くなってるおれにチャンミンが優しく声をかけた。

チャンミンはすぐおれの変化に気づいてしまう。
他の人には無関心なのに…。


「ううん、ちょっと眠いなって…」


慌てて誤魔化した。


「そう?」


…昨日遅くまでいじめ過ぎたかな?

チャンミンが耳元でこっそりと囁いた。


「もうっ!」


昨日の夜のことを思い出し、顔が熱くなる。
チャンミンに拳を振り上げ叩こうとすると、サッとよけられた。


「むむっ」


何度も叩こうとするが、どれも避けられてしまう。
おれはムキになって続けた。


チャンミンは笑いながら器用に避け、最後には両方の手首を掴んだ。

振りほどこうとしても、チャンミンの力の強さには敵わない。


すると一瞬引き寄せられ、額に軽くキスをされた。


…メンバーの皆がいるのにっ。


急いで振り返ったけど、皆おのおのに仕事の準備をしていて、気付いていないようだった。


チャンミンを見ると、いたずらっ子のようにペロッと舌を出した。


ぺしぺしと軽くチャンミンの胸を叩く。


「もうすぐ本番だぞ。じゃれてないで準備しろよ」



リーダーのユノに怒られ、返事をしておれたちは鏡の前で最終チェックをした。





さっきまでの暗い気持ちが、いつの間にか消えていた。
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