過去の『Web拍手』のおまけ集
□『見つめてて』
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「ちょっと、チャンミンっ」
収録の後、おれはチャンミンに言いたいことがあり、宿舎のおれの部屋へ引っ張った。
「何…?」
おれの声が固いことに気付き、少し不安そうにチャンミンが聞いてくる。
「チャンミンは、おれを見すぎっ」
「えっ?」
「今日の収録中、おればっかり見てたでしょ?
…皆に関係がバレないかドキドキしたよ」
…それだけじゃない。
チャンミンに見つめられると、胸が高鳴って仕事に集中出来ないじゃないか…。
「えっ?俺、ジェジュにぃのことばかり見てた?」
「見てたよっ」
チャンミンは腕組みをして唸ってる。
「そんなに見てるつもりは無かったんだけど…」
えっ?自覚が無かったの?
「とにかく、見すぎなんだから、これから気をつけてねっ」
ちょっと強い口調で言う。
するとチャンミンが拗ねたように言った。
「分かったよ。もうジェジュにぃなんか見ない。観客席の女の子見てるから、いいよっ」
チャンミンはプイッと横を向いた。
…えっ、女の子?
なんでそうなるの?
「ジェジュにぃは、自分が見られるより、他の子を見た方がいいってことでしょ?」
「………」
チャンミンは意地悪だ。
そんなこと、思うわけないのに…。
言葉を返せず黙っていると、腕を引かれチャンミンの膝の上に座らせられた。
後ろから抱き込まれる。
「ん?どうなの?それでもいいの?」
耳許でチャンミンが言った。
「…やだ」
おれは小さい声で言った。
「何?聞こえない」
…嘘だ。
本当は聞こえてるはずなのに。
「いやだっ!」
おれは観念して大きい声で言った。
するとチャンミンが小さく笑う。
おれのほうが2つも年上なのに…、チャンミンに振り回されてる気がする。
「しょうがないでしょ。だって俺は、ジェジュにぃしか見えてないみたいなんだから」
チャンミンは、おれの頬にキスをする。
軽く…何度も。
…他の子を見られるよりは、おれだけを見てくれてた方がいい。
今さらながらに気づく…。
チャンミン。
ずっとおれだけを見ててね。
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