ユンジェ☆

□『密会』
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ソウルの街の…片隅。





ひっそりと佇む、けして綺麗とは言えないホテルに…おれはいた。





古びた扉を開けた瞬間、逞しい腕がおれの身体を抱きしめた…。





その厚い胸板に顔をうずめ…おれも力いっぱい抱きつく。





「会いたかった…」





熱く吐息を吐きながら、おれの耳もとで…ユノが言った。

その言葉に、胸が締め付けられる…。





「おれも、おれも会いたかった…っ」





たとえ仕事で顔を合わせても、周りの目があって…前のようには接することが出来ない。






すごくユノに、触れたかった。






触れて欲しかった…。




笑顔を向けて欲しかった…。








「誰にも見られなかった?」





「うん。誰にも気づかれなかったと思う」





「そっか…。良かった」





ユノがホッと胸を撫で下ろす。





「ユノ…。ごめんね…」





「え…?」





ユノは抱きしめていた腕をゆるめ、おれの瞳を見た。





「おれたちが…、あんなことしたから…」






その瞳が見れず、うつむく…。






「何言ってんだよ」





ユノの手が、おれの頭を優しくつつんだ。





「今回の事は、5人全員で話し合って決めた事だろ?」





「でも、そのせいでユノが皆に…んっ」





おれの言葉を消すかのように、いきなり口づけられた。






「ん…、んん…っ」





激しい口づけが、おれを襲う…っ。




壁に押し付けられ、唇を貪られる。





「そんな事…言うなよ」





キスの合間にユノが言った…。





「だって…」





「ジェジュン…。俺はファンの皆の気持ちも、分かるんだ」





「ユノ…」





「俺たちは沈黙を守っている。今はまだ話す時じゃないから…。
でもファンの皆は不安に思っているんだろう。そりゃそうだよな…。俺たちが離ればなれになってしまうんじゃないかって」






そんなの…、嫌だ…っ。


おれたちは、これからもずっと一緒にいたい。





「皆不安で、この不安をどこにぶつけたらいいのか解らなくなっているんだよ」





ユノが辛そうに息を吐いた。





「もちろん、ウソの情報や思い込みに踊らされて…間違った事を鵜呑みにして、いろいろ言われるのは…正直辛い…」






「ユノ…」





「でも、走り出してしまったんだから、前に進むしかない」






ユノの瞳が熱く煌めく。





「俺たちが…ずっと一緒にいられる方法を、探そう」





「うん…っ」





ユノ…。


今は辛い時だけど…、この暗闇が過ぎたら、きっと新しい光のある未来がまっているよね?






そう信じて…。
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