短篇・ミニD
□嫉妬
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島に帰ってきた ゴトー先生は、病院の前の浜辺でタケヒロと話をしていた。
「全く…、この前は どうなるかと思った…。風が心地良いよね、タケヒロくん」
ゴトー先生は、そう言ってタケヒロに微笑みかけた。
タケヒロは、ゴトー先生の方をキッと向き直り、
「先生、先生はアヤカさんのことを如何お考えですか?」
と詰問でもするかのような口調で話しかけた。
「な、何…。タケヒロくん、そんな怖い顔して…。あくまでも医師と看護婦…、それだけの関係だよ」
「ごまかしてらっしゃらないですよね…。肉体的関係は無いですよね…」
さすがの温厚なゴトー先生も色をなした。
「何を言い出すんだ、タケヒロくん。タケヒロくんは僕とアヤカさんの関係に何か文句があるのか?確かに見てる人はじれったいだろうけど」
「先生、僕はアヤカさんと風雨吹きすさぶ東門ゲートで契りを交わしました!」
「な…、何だって…?ホントなのか?」
ゴトー先生は愕然とした。
タケヒロは 言って、浜辺を走り出した。
「本当です!愛という名の味をアヤカさんに教えて頂きました」
ゴトー先生は立ち上がり、血相を変えてタケヒロを追い掛け始めた。
「待ちなさい!タケヒロくん!詳しい状況説明をしてくれ!医師としての任務だ!」