GIFT
□真夏日
今日も遠慮なく、清春は瞬のベッドを占領していた。
「あっちィ…」
仰向けにだらしなく寝転がった清春は、先ほどから、何度も同じ事を言う。
「まーだ5月だってのに、何だっつーんだ、この暑さは」
確かにカレンダー上はまだ5月で。
けれど気温的には、ここ数日、7月上旬並の暑さを記録していた。
「ナナ、いい加減に観念してクーラー入れやがれ」
オレ様が溶けるとか何とか、清春は言う。
彼の“暑い”攻撃は軽く無視して、瞬は新しい楽譜とにらめっこしていた。
清春には、おたまじゃくしが踊っているようにしか見えない。
「ナ〜ナ?」
「…却下だ」
瞬は、ようやく言葉を返した。
「7月まで、クーラーはなしだ」
「……気温的には7月だろォ? ケチくさい事やってんじゃねーってェの」
文句を言いながらも、清春は諦めのため息をつく。
瞬が簡単にクーラーを入れるはずがないのは、わかっている。
けれど、それで納得するはずがなく。
ケチだの何だのと散々に言いながら、清春はベッドの上で転がった。
「仙道…」
楽譜を置いた瞬が、清春に目をやる。
「その格好、他ではするな」
「……んー?」
暑い暑いと言って、清春は上着を脱いでいて、今はランニングシャツ1枚。
下はいつも丈が短いので、ナマ足なのは珍しくないが。
だらしなく身体を伸ばして寝転がっているので、足だけでなく、腹までチラ見えしているという状態。
「……んだよ、見てんじゃねーよ、ナナのえっち」
→次へ
[表紙へ戻る]
ゲームブックを検索