VitaminZ
□秘書対決の決着は
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永田と千聖の秘書対決は、どうにも決着がつかないまま。
そもそも、どちらが優秀な秘書か決着をつける理由は何だったか、わからなくなりかける頃。
早い話が、そろそろギャラリーも飽きかけてきた頃。
桐丘先生のつくったラブリーな猫にゃんクッキーもなくなり、真奈美はそろそろ(無駄な)対決をやめませんかと、ようやく止めに入った。
秘書対決をしている本人達は至って冷静で、ヒートアップしているのは、互いの主人の方だったりするのだが。
「思い知ったか、成宮」
「けっ、こっちのセリフでぇ! 千は負けてねーぞ!」
「ふっ…どう見ても永田の方が優勢だったろうが」
「何ぃ〜」
…こんな状態で、秘書対決はなかなか終わる様子がない。
「あのね、2人とも…」
いい加減、真奈美がストップをかけようとすると。
「…へっ」
天十郎が勝ち誇った顔で、千聖の腕を掴んだ。
「いいか真壁、おめーの秘書がどんな優勢だろうとなぁ、俺の千は秘書で、親友だかんな!」
「おい、天」
「俺達の仲の良さには勝てねーだろ」
千聖の腕を掴んだまま、やたらとくっついて、仲良しアピール。
「秘書で、親友だと?」
天十郎に挑発された翼は、チラリと永田を見た。
彼はいつもと変わらず、感情を読ませない、すました顔でいる。
「ちょっと、あなた達ね…」
真奈美は完全に蚊帳の外。
「そうだ、俺らは親友だかんな」
この絆に叶うまいと、天十郎は胸を張る。
「確かに、俺と永田の間に友情はないな」
「だろ? へっ、羨ましがれ!」
天十郎は、勝ったとばかりに満面の笑みを浮かべるが。
「おい、永田」
翼はニヤリと笑って、永田を呼んだ。
それ以上は指示を出されなくても、それだけで理解するのが優秀な秘書の条件。
「……よろしいのですか? 翼様」
永田が確認すると、翼は肯いた。
「いいと言っている」
「…かしこまりました、翼様。それでは……」
永田は応えて、翼に真っすぐに歩み寄った。
皆が見ているという状況は全く気にしていない様子で、そのまま、翼の顎を軽く持ち上げて口づける。
「……!」
「……!」
「……!」