VitaminX

□永遠のLoveTime
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「何だ。悠里は自家用ジェット機で海外へ行くのが良かったのか? 貸し切りのホテル? それとも別荘か?」

そうだと言えば、すぐにでもジェット機を手配して移動しそうな勢いで問われるが、悠里は小さく首を振った。

「私も…熱海がいい。この旅館がいい」
「悠里…」

翼は悠里に腕を伸ばして、髪に触れた。

「何? 濡れちゃうわ」

彼はあの時と同じ、内風呂にいるのだから。

「……恋人時代の再現をしようか、悠里」
「えっ? ……きゃっ!」

ぐいっと腕を引かれて、湯の中に引っ張られる。

あの時と同じ、浴衣のまま湯の中に落とされた悠里は、じとっと翼を睨んだ。

「もう!」

怒ってみせるが、効果などない。

「世界中のどこへだって、いつでも連れて行ってやる。地球に飽きたら宇宙だっていい。…悠里、結婚10年目の記念旅行は月へ行こう」
「…翼くんたら」

彼は相変わらずキザで、こんな恥ずかしい事をさらりと言うのだ。

愛する人。

これから一生…ずっと側にいる人。

「翼くん…」

何だか、新婚早々にやられっぱなしが悔しくて。

悠里は彼の瞳をまっすぐに見つめて、微笑んだ。

「月への旅行、約束よ?」
「あぁ…約束だ」
「楽しみにしてるわ。あなた」
「……!」

計画的に言ってみたら、愛しい旦那様は思いのほか動揺してくれて、悠里は嬉しくなる。

「悠里っ…」
「なぁに? あ、な、た」

笑顔を見せると、翼は赤い顔で睨んでくる。
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