GIFT

□真夏日


見るなと言いながら、清春は腹を隠そうとか、そんな気はないようで。

「…行儀が悪いという意味で言ったんだ」

瞬は彼から目をそらして、また楽譜に目をやる。

「…ま、行儀がいいとは思ってねーけどォ?」

清春は起き上がって、背後から瞬に抱きついた。

「離れろ、仙道。暑い」
「だから、クーラー入れりゃ解決すんじゃねーの?」

簡単そうに言いながら、清春は更に腕をまわして、瞬の背中にくっつく。

「暑い!」
「オレ様もあっちィ……」

それでも離れようとしないまま、清春は瞬を自分の方に向かせて、べったりとまとわりつく。

「もっとアツくなろーぜ、ナナ」

服なんか脱ぎ捨てて、肌と肌で触れ合う。
互いの体温が重なって、直に熱を感じる。

「オレ様を溶かしてみやがれ」
「……覚悟しろよ?」

先にとろとろになるのは、どちらが先か。

2人はただ、お互いの熱を煽るように重なり合った。

「ん…っ…ナナ、クーラー!」
「…7月までは却下だ」
「バカ、マジで汗だくになっちまうっつーの!」

ギリギリの所で、清春は瞬をつき離して睨むから。

「…仕方ないな」

これ以上ないくらい、暑くてアツくて熱い時間だから。


5月某日、真夏日。
瞬の家のクーラーが、解禁された日。



-end-

[表紙へ戻る]

ゲームブックを検索



©フォレストページ