蒼思蒼愛

□蒼思蒼愛 第壱章
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入学式が終わった後俺は足早に相談室へと向かった


扉の前に立つとはぁと盛大な溜め息を着いた

入学式や始業式に説教をくらうのは何回やられても嫌な気分になる

いつまでも扉の前に立っているわけにはいかないので俺は扉をノックした




「入っていいぞ」

「失礼します」



俺は眉間に眉を寄せてぶっきらぼうに挨拶した




「まぁ呼ばれた理由はわかるよな?」

「はい」

「じゃあ話は早いな
その髪は地毛か?」

「え?」




びっくりした
こういうときはいつも髪を染めている前提で話を進められる
いくら地毛と言っても信じてはくれない
でもこの人は最初から決め付けなかった
先生にもこんな人がいたんだな



「はい」

「そうか、んじゃ行っていいぞ」

「え?」

「まだ何かあるのか?」

「その…簡単に決めちゃうんですね」

「何をだ?」

「髪の事…」

「本人が地毛って言ってるんだからそれでいいじゃねえか
それに、俺もこんな髪だからお前位の頃は同じ事が結構あったんだ」

「その髪地毛だったんですか!?」

「まぁな
そんな事はいいからとっとと教室戻るぞ」




なるほど納得だ
この人も俺と同じ経験してたんだな
なんだかこの人が担任で良かったかもしれない
今回の高校生活は楽しくなるかもしれないな


俺は先生と教室に戻った
先生が俺の前で俺が後ろで…
会話は全くなかったけど自然と気まずい雰囲気はなかった


教室に着くと先生は振り返り俺は一瞬ドキッとした


「ほら、先入れ」


なんだ、そんなことか、
って俺は何を期待してたのだろうか



「はい」



教室に入り席に座ると隣の席のルキアがどうだったと聞いてきた



「お咎めなしだったぜ?」

「それは驚いた
髪のことについてだろう?」

「ああ、でも地毛かって聞かれてはいって答えてそれでお終いだった」

「なるほど、あの先生は他の奴とは違うかもしれないな」

「なんで?」

「なんとなくだ」

「なんだそれ」




でも確かにルキアは人を見極めるのがすごい
それは幼馴染の俺だからこそ分かることだ
今回もそうなのだろうと思った







「じゃあ委員会決めるぞ
まずは学級委員になりたい奴手挙げろ」





委員会は男女それぞれ一人
女子は・・・ルキアか
男子は誰も手を挙げない



「男子…誰もいないなら俺が決めるぞ」





シーン…






「お前ら良い度胸じゃねえか
黒崎!お前学級委員な
文句は受け付けないぞ強制だ」






いきなり名前を呼ばれて思わずハァ!?と言ってしまった
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