恋
□願い事
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夏も本格的になってくる7月。
今日は7日、七夕だ。
(今日の隊長は少しおかしい気がしますね……)
今日は、珍しく春水が仕事を片付けていた。
七緒がする仕事は本当に少しで、「どうされたのですか」と聞いても「ただの気まぐれだよ」と返された。
(気まぐれでなく、いつもやっていただきたいのだけど)
仕事が終わり、散歩をしていると、大きな笹が見えた。
そういえば、今日は七夕だった、と思い出す。
近付いてみると、短冊がたくさん下がっていた。
ふと目の前の短冊に手を伸ばしてみる。
『たくさんお菓子が食べられますように!』
この字はやちるだ。
やちるの子供らしい願い事に、ふっと笑いが漏れた。
(私も、書いてみようかしら)
置いてあった短冊とペンを取り、筆を走らせた。
『新しい髪飾りが欲しい』
我ながら現実的な願いだと、苦笑してしまった。
もうそろそろ戻らなければ。
そう思い、七緒は隊舎に向かった。