恋
□make a promise.
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4月。
春の始まりを告げるような暖かい風が吹き、織姫の髪を揺らす。
風になびく髪を手で押さえながら、軽い足取りで歩いていく。
その手には、どうやら弁当が入っているであろうバッグが持たれている。
向かっているのは、桜の咲き乱れている河原。
まだ八分咲きだろうか、満開ではないにしろ、風に舞う淡い花弁はとても美しい。
「わぁ……きれい」
織姫は、その光景に感嘆した。
周りを見渡すと、ちらほらと花見客もいるようだ。
その中にいるであろう、目的の人物を探す。
その人物は、すぐに見付かった。
一本の桜の木の下でシートを広げ、優雅に足を組み読書にいそしんでいる。
織姫は、読書をしている雨竜のもとに向かって歩いていった。