恋
□和風で10のお題
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*雪月花
「見なよ一角」
「何だよ」
「雪だ」
弓親に言われるまま、空を見上げると本当に雪が降っていた。
どうりで寒い訳だ。
「月も出てるし……これで花があれば、『雪月花』だったのに」
「何だよ、その『雪月花』って」
「知らないのかい?」
馬鹿にしたように笑う弓親にムカつきながら、続きを言うように促す。
「雪月花っていうのは、現世で美しいとされる風景のひとつだよ。雪と月と花」
この僕のように、と言う弓親には目もくれず、ぼんやりと考える。
雪と月と花、か……。
ふと向こうを見れば、ひとつの人影が見えた。
ちょっと身を乗り出して見ると、その人影は涅副隊長のものだった。
立ち止まって、只、空から舞い降りる雪を眺めている。
「花、あるじゃねぇか」
「え?どこに……無いじゃないか、って一角!?」
弓親が呼ぶのに答えず、上着を持って縁側から飛び出した。
「涅副隊長っ!」
俺の声に振り返る、貴女のところに。
(一角にとっての花、ね)
END
最近ハマりの角ネム。
一角が上着をネムにかけてあげればいいな(笑)
(20070805)