恋
□花見日和
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花びらは僕達の周りを舞い、ひらひらと落ちて行く。
その内の一枚が井上さんの掌に乗る。
「桜は…儚いね」
いきなりそう言われ、ちょっと黙ってしまう。
「せっかく綺麗に咲いたのに、すぐ散っちゃうんだもん…」
悲しそうに言う井上さん。
「……でも、桜は儚いから、散るから綺麗なんだよ」
不思議そうに僕の顔を見上げる。
「桜は、散る時が一番綺麗だ」
今度は桜の木を見上げる井上さん。
ひらり、ひらり舞う花弁に心を奪われる――
そんな君が、一番綺麗だ
END
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