恋
□こいの唄
1ページ/3ページ
「うーん……どうなるのかな……」
土曜の午後。
織姫は国語の教科書を開き、机に向かっていた。
取り組んでいるものは短歌の宿題。
織姫のクラスの担任、越智先生が出したものである。
「えっと……なにとなく、がなんとなくだから……」
古語事典を片手に、着々と短歌を訳していく。
「……できた!」
全ての短歌を訳し終え、その訳を確認しようと音読した。
「なんとなく、私が思いを寄せているあの人が待ってくれているような気がして、夢見るような気持ちで外に出たら、草花の咲き乱れている野原は月の出ている暮れ方であることよ」
それは、恋の唄だった。