□こいの唄
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「うーん……どうなるのかな……」


土曜の午後。

織姫は国語の教科書を開き、机に向かっていた。

取り組んでいるものは短歌の宿題。
織姫のクラスの担任、越智先生が出したものである。


「えっと……なにとなく、がなんとなくだから……」


古語事典を片手に、着々と短歌を訳していく。


「……できた!」


全ての短歌を訳し終え、その訳を確認しようと音読した。


「なんとなく、私が思いを寄せているあの人が待ってくれているような気がして、夢見るような気持ちで外に出たら、草花の咲き乱れている野原は月の出ている暮れ方であることよ」


それは、恋の唄だった。




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