恋
□僕に映る。
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絵が完成したころ、時計を見ると、丁度戻れと言われていた時間だった。
戻ろう、と思い片付けをし、自分の描いた絵を見てみた。
思わず、固まった。
色鮮やかな紅葉や銀杏の中に、井上さんがいた。
僕が描いたのだろうか。
まったく覚えがない。
でも紛れもなくそれは僕が描いた絵で、そこに描かれている人物は井上さんだった。
これから修正しても間に合わない。
仕方なく僕は、その絵を持って、教室に戻った。
その後、黒崎も同じ過ちをおかしていたことに、なんとなく悲しさがこみあげた。
(どんなに美しい景色でも、井上さんには敵わない)
「僕には君しか見えていない」
END
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