□僕に映る。
2ページ/4ページ



美術の時間。秋ということもあり、写生をすることになった。

風景でも人物でもいいから、この時間内に描きあげて提出しなければならない。

僕はひとり裏庭に来ていた。

時期もあって、裏庭の木々は色鮮やかに染められ、美しい景色を作り出していた。

これにしよう、と思い腰を下ろし、画用紙に鉛筆で木々を下書きする。

ある程度の下書きが終わり、パレットに絵の具を出した。

赤や黄色、オレンジで画用紙に彩りを与えていく。


紅葉の木が赤に染まったとき、視線をあげると、少し離れたところに井上さんが座っていた。

井上さんもどうやらこの景色を描いているようだ。


同じ考えを共有したことに喜びを感じながら、絵の続きを描くことに集中した。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ