神様はじめました

□もらえないと欲しくなる
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「ねーねー、巴衛ー!!」

「駄目だといったら、駄目だ!」



「なんでよ、ケチー!
いいじゃん!お菓子の一つや二つ!」

「なにが一つや二つだ。
そんな大量の菓子など不要だ。
返して来い」




私は今、巴衛と買い物中。

ふたりっきりでラブラブお買い物かと思ったら・・・




「菓子ならいつも俺が腕によりをかけて
作ってやっているだろうが」


「そっ、そうだけど・・・、
たまにはポテトチップスとかそういうスナック菓子が食べたいのよ〜!」


「すなっく?
なんだがしらんが、そんな油分の多そうなものを口にするな。
身体に毒だ。」



巴衛はそう言うと、
スタスタと歩いて、さっさと会計の方へ行ってしまう。





私と巴衛は、
500年以上前に、将来を約束して・・・
ようやく今こうして夫婦になったわけだけど・・・



未だにこういう色気のないケンカが耐えないっていうか・・・


500年以上前に出逢った時は、
もっとこう、ロマンチックな感じだったんだけどなぁ・・・。


なんて、あの時
時廻りの香炉で過去に行った時の事を思い出す。



いや、
もちろん、今の巴衛の方が好きだけどね?





「奈々生。
そのすなっくとやらが欲しいのなら早く
カゴの中に入れろ。ただし、一つだけだぞ。」



ほら。
今だって、なんだかんだ言って、私にすっごく優しくしてくれる。




「うんっ!!///」



そんな巴衛が大好き。






*************




「ねー巴衛ー。」

「なんだ。」



「手、繋いでもいい?」

「・・・好きにしろ」



「うん!」


私は綺麗な巴衛の手を握る。


そしたら巴衛も握り返してくれた。





そんな巴衛にキュンキュンしながら
歩いてたら、子供連れの夫婦と通りすぎて・・・



思わず足を止める。



幸せそうに笑いながら
夫婦が間に子供を挟んで手を繋いで歩く姿。



いいなぁ・・・。
素直にそう思った。




母と死別し、
父も行方知れずの私にとっては
叶うことのない光景。



子供・・・
欲しいなぁ・・・。



どうしてだろう。
最近、よくそう思うようになった。


これも女の性ってヤツなんだろうか?



巴衛と夫婦になって、
意識的に子作りをしようとしたことは
なかったけど・・・


夫婦になってけっこう経つし、
そろそろ欲しいなぁ・・・。





「どうした、奈々生?」


私が急に立ち止まったから、
手を繋いでいた巴衛も止まって私を見る。



「さっき通り過ぎた家族・・・
いいなぁって思って・・・」


「・・・ん?」




「子供と三人でさ・・・
幸せそうじゃん・・・」



「・・・・そういえばお前は
両親と会えないのであったな」




「うん・・・。
でさ・・・///
じ、自分がその・・・お、お母さんなるのも
いいかなって・・・///」


きゃー!!///
なに巴衛の前で大胆発言してんの?あたし?!

巴衛なんて言・・・



「・・・そうだな。
お前なら良い母親になるやもしれん」


「・・・?!!///」


巴衛から出た意外な言葉に頭がパニック状態。


えっと・・・///
つ、つまり、それって・・・///
あ、あたしと、子供を作りたいって・・・///





「しかし、
俺とお前の間には子はできんわけだから、
無意味な仮定だがな。」





は・・・・????



え?
今、巴衛、
サラっと何言った?




「奈々生?」


「巴衛、今なんてった?」





「”奈々生?”」


「いやその前」




「俺とお前の間には子はできんわけだから、
無意味な仮定だがな」



「・・・・・・!!!!!!!」





子が・・・・デキナイ・・・?





「・・・なんだ。
お前、まさか知らなかったのか?」


「い、いや、だって・・・っ」




「俺は妖でお前は人間。
子が出来るわけがないだろうが。
妖の中でも親から生まれてきた者ならまた
別だが、俺はそういう妖ではないしな。」



「じゃ、じゃぁ!
巴衛とシてるあれはなんなの?!」


「あれはお前への愛情表現と性欲処理といったところか。
妖にも性欲はあるしな」


「・・・・!!」



そう、なんだ・・・





「・・・そんなに子が欲しかったのか?」



ガックリうな垂れている私を見て、
巴衛はそう言う。



「そういう・・・わけ、じゃないけど・・・」




どうしても子供が欲しいってわけじゃない。

私には巴衛がいればそれで十分なわけで・・・



でも、どこかで期待してた。


巴衛そっくりな子供と、巴衛と私の3人で
微笑むそんな夢を・・・



どうしても欲しいわけじゃなかったとはいえ、
絶対に叶わないとキッパリ言われると、
やっぱりツラい・・・。





「・・・そんなに欲しいのなら、
作ってみるか?」


うな垂れている私の頭上から降ってきた
思いも寄らない言葉に驚いて顔を上げる。




「・・・・?!!///
でっ、でも今、できないって・・・!」



「あぁ、できん(キッパリ)」

「・・・やっぱり・・・」




「だが頑張れば
なんとかなるやもしれん」


「え・・・?」


な、なんか、
巴衛の顔が妖しく・・・



「試してみる価値はある。
なぁ?奈々生?」


「あ、あの・・・っ、
巴衛・・・?」




「俺もお前似の子というものを
見てみたくなった。
覚悟はいいな?奈々生。」


「いや、ちょっと待っ!
ぎゃーーーーー!!!!!!」







**************




数ヵ月後。



「うっ・・・。
巴衛、洗面器・・・っ」


「ほら。
治まるまで好きなだけ吐け。」





鞍馬「・・・にしてもスゲーな、お前ら。
妖と人間で子供作っちまうとは」


「当たり前だ。
この俺にやって出来んことなどない。
毎晩の様に種付けをすれば妖と人間という
弊害など関係な・・・


「巴衛!!///
変な発言しないでよ!!///」



私は言霊縛りで
巴衛を黙らす。



私達の間には、なんと赤ちゃんが出来た。

絶対できないはずだったのに・・・
今でも信じんらんない・・・///




鞍馬「にしても、奈々生、
ほんとつわりひどそうだな。」


「最近では
ほとんどのものは吐いてしまう。」


「う〜気持ち悪い」





「できるだけ食べやすくて
滋養の付くものを色々考えてみた。
どれか食べれるものはあるか?奈々生?」



鞍馬「って!狐!
なんだ?!この料理の数?!」



そこには机いっぱいに
作られた食べ物の数々。



「う〜。いらない〜。」


「そう言わず、少し食え。
腹の子のためにもな」



巴衛は毎日のように、
私が食べやすそうなものを作ってくれる。


いつもなら大喜びで食べるはずのものも、
今は全然食べれない。


ほんと、
思った以上にツラい。




でも・・・




「奈々生。
お前がツラい思いをしているというのに、
何もしてやれなくてすまない・・・。
俺にできることがあればなんでも言ってくれ」


「巴衛・・・///」




妊娠が分かってから、
巴衛は私のことをものすごく労わってくれる。


前までは
すぐいじわるな事言ったりしてきたのに・・・


ものすごく女の子扱いしてくれるというか・・・

綿にでも包むように優しく優しく
接してくれる。





それがあまりにも心地よくて・・・




「じゃぁ、マッサージして?
腰が痛くって・・・」


「分かった」




即座に私を寝かせて
腰をマッサージしてくれる巴衛。




「あ〜あと、
なんかこの部屋熱いから、もっと涼しくして?」


「分かった」



巴衛の妖力で風が吹き出し、
突然涼しくなる。




「あ〜ごくらくごくらく〜♪」




ついついワガママ言っちゃう私。

普段だったら、
絶対嫌味の一言言われてたもんね。



鞍馬「狐・・・お前、
いいように使われてねーか?」



「どうだ、奈々生?
他になにかして欲しいことはあるか?」


「んー。
あっ、そうそう。
今日発売の漫画の続編、
買ってきて欲しいんだけど・・・」


「分かった。
今すぐ買ってきてやろう」




鞍馬「って!
聞いてねーし・・・」




そんなこんなで?
私達に新しい家族が増えるまで・・・
あと少し・・・








END
 

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