Night&Knight−夜と騎士−
□第十七話
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蓬条家とは、昔から代々続く由緒ある家柄の一族。
その歴史は戦国時代からとも云われているがそれを知るのは蓬条家でも一部の人間のみ。
それを知る人間は蓬条から出ることは許されず、その秘密を抱えたまま蓬条の名を背負い、その一生を終える。
男女共にそれは関係などなく、それを知った者は例外なく今までその掟により縛られてきた。
男は外部から女を娶り、蓬条という籠の中で一生を過ごし、女は男を婿入れさせるか、一生軟禁状態を強いられるという。
知らなければ、好きな人と添い遂げることもできたであろうが、本来は知ってはならぬそれを知った者の末路は一つしかない。
男はまだいい。どの道生まれて出た時より最後までその姓が変わることはほぼないに等しいのだから、他の家庭と変わらぬ生活が送れるだろう。
しかし、女は違った。まだ婿養子そして男を迎え入れることができたのならまだ幸せなほうだが、女は男と違い、初めからその待遇が違った。
生まれてから蓬条の生まれを知った女はその瞬間から軟禁生活を強いられる。出会いなどほぼないに等しく、あったとしてもそれは確実に家柄を護るための政略的なもの。そこに愛などあるはずもなく、結局は一生蓬条の名の下に苦しむことになる。
それが蓬条家に生まれ、その秘密を知った者の運命。
そして、その一人が蓬条柚璃だった。
第十七話
「思わぬ伏兵」