Night&Knight−夜と騎士−
□第十話
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「勘違いしてすみませんでした」
土下座する佐助とその横でソファに腰を下ろし、足を組んでいる従妹。
佐助の土下座なんて初めて見たかもしれない、というより人の思考を読むのに長けているはずの猿飛佐助という男に土下座させている我が従妹を本気で怖いと思ったのはここだけの話だ。
別に彼女が佐助に土下座を強要したわけじゃないし、むしろ佐助自らが土下座したようなものだけど、何故か彼の後ろで幸村が憤慨している様子を見ると、幸村にお説教を食らったようだ。
それで柚璃に土下座という図が出来上がったのか。
しかし、依然彼女のご機嫌は元に戻らないのか笑みを浮かべたままだ。
「ふふ、別に怒ってないですよ? 勘違いであそこまで言われる筋合いは全くないとは言っても、そこまでして頂く義理もないですし、どうぞお顔を上げになってくださいな」
なんて言ってるが、絶対まだ怒ってる。
理不尽なことが大嫌いな彼女にとっては相当だったらしい。
というか、この従妹が啖呵を切ったのを見たのは久しぶりな気がする。
そう言えば、柚璃の妹が綾人を置いて行方知れずになった後、とりあえず誰が綾人の面倒を見るかとなった時以来だ。
一族の恥知らずだと彼女の妹を罵るだけ罵った後、誰も彼女の子どもを引き取ろうとしなかった親戚一同に柚璃が啖呵を切ったときは、本気で彼女の頭に鬼の角が見えた気がした。
一族の恥なのはあんた等だとブチ切れて、一族の人間全員を正座させてた気がする。あの時は蓬条の当主もさすがに驚いた顔をしていたなぁ、なんて慶次が思い出していた頃、佐助はひたすらその鬼の角が見え隠れする彼女に謝り倒していた。
あれ、そういえば政宗のことはどうなったんだろう? と慶次は従妹が泣いて帰ってきたことを思い出し、柚璃を一瞥したのだった。
もしかして、柚璃忘れてない?
第十話
「まるで、織姫と彦星」