Night&Knight−夜と騎士−
□第十一話
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「政宗殿ばっかりズルイでござる! 某も綾人殿と一緒に遊びたいのにっ!!」
「ちょ、旦那目的変わってるから!」
「Ha! お前より俺のほうが綾人はいいんだとよ。残念だったなァ?」
「むむむッそれは納得いかないでござる! 綾人殿! 某の何処がいけなかったのか某に教えて下され!!」
「幼稚園児に言う台詞じゃないからねそれ!! ってか竜の旦那も適当なこと言って旦那を挑発しないでよ!」
「まさむねーたかいたかいはー?」
うん、我ながら凄いと思ううちの甥っ子は。
大の大人三人囲まれてある意味綾人争奪戦と化している中で当の本人は楽しそうに笑ってる。
そんな様子に呆れもするが、何だかんだ楽しそうなので柚璃はクスリと笑って苦笑した。
「うちの綾人はみんなに好かれてるなぁって思ってる?」
「そうだね。母親代わりとしては嬉しいよ」
両親に捨てられたと言っても過言ではない綾人。
それを当の本人はうすうすであるが気付いていることは知っている。
以前に綾人は言ったのだ。本当のママみたいにいなくなったりしないよね?、と。
母親と父親がいなくなったのは自分のせいだと心の何処かであの子は感じ取っている。
三歳なのに聡い子だから、きっとわかっていても私や慶次の前でそれを言ったりなんかはしない。
だから、たとえ母親と父親の愛情がなくとも彼をこうして可愛がってくれる人が沢山いることを綾人には知っていて欲しい。
君は一人じゃないよ、君はちゃんと愛されているんだよって。
朝っぱらから何してるんだと誰も突っ込まないのは、そんな余裕がない者とその光景を眺めて和んでいる者がいるからで、誰一人として朝早くからこんな大声出して近所迷惑だと気付く者はいなかった。
まぁ、もともと防音対策ばっちりな造りしているらしいマンションなので少々暴れたりしても問題はないのだが。
こんな賑やかな朝は久々だと呟いた柚璃に慶次は隣で従妹が嬉しそうにしているのを見て、自分も自然と笑みが零れるのを感じていた。
平和だなぁ――なんて思いながら