白の明星 白の玉座
□白の明星 白の玉座
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外はもう雪が降っていた。
どこにでもあるような小学校の廊下で、2人の少女が話し込んでいる。
どちらも、表情はどことなく暗い。
しかし、別に寒さに対して憤りを感じているというわけではなさそうだ。
一方の、真っ黒な髪が印象的な少女は、もう一方の赤毛の少女の手を強く握りしめた。
「じゃあ、陽子はお受験しないんだ・・・」
「うん・・・お父さんにそう言われて・・・」
陽子は俯き加減に少女に告げた。
「本当にごめんなさいっ」
彼女とは8年来の友である。
当然仲も良く、いつも一緒に行動をとっていた。
自然な流れで中学も同じ所を受けるとばかり思っていたのだ。
じっと、少女のつま先ばかりを見つめる。
心の片隅では、彼女も自分に合わせて中学受験取りやめてくれることを願いながら。
そのため、気づくことができなかった。
―――――少女が陽子に対して、悲しみと憐みの混ざった双眸を向けていたことに。
「そっか・・・そっか!仕方ないよね、うん」
少女はまるで自分に言い聞かせるかのように、やや高い声色でにっと笑った。
陽子は安堵した。少女がすぐにいつもの明るさを取り戻したからである。
「まぁ、一度くらい私たちも離れてみるのもいいかもねっ」
これには落胆した。流石に中学は変えてくれないらしい。
・・・彼女なら、一緒の中学へ通ってくれると信じていたのだが。
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