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□振り向けばきっと
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※「シラー」の続編です。
コロネロがイタリアに発って
早くも1年が、経とうとしていた。
どれほどの時を経ても
コロネロのことを忘れた日は
一度もない。
むしろ、日を重ねるごとに
コロネロを想う気持ちが
強く、深くなっていってる。
コロネロにもう一度
逢える日を夢見て────
「…ナ」
「…ツナ」
───ん…
誰かが…
俺を呼んでる……?
「起きろってんだろ、バカツナ」
「ふごっ!!」
強烈な蹴りの直撃と同時に
俺は現実の世界に引き戻された。
最悪な目覚めを
用意してくれていたのは
もちろん、あいつしかいない。
何年経っても、この主従関係は
変わらずというわけで。
「リ、リボーン…」
「ったく、こんなときに」
「こんなとき?」
言葉の意味が理解できず
俺は頭の上にクエスチョンマークを
浮上させていた。
「何かあったの?」
リボーンは、ふぅ、と
短いため息をつき
何とも云えない笑みを浮かべながら
こう言った。
「愛しの恋人さんが
任務を成功させたらしいぜ」
「……っ!」
「まぁ、一週間後には
帰ってくるらしい」
その言葉を聞いた瞬間
俺は、全身が震えて
コロネロの顔が脳裏をよぎった。
コロネロに
─────会える?
俺はそのとき、コロネロのことで
頭がいっぱいで
リボーンの密かな舌打ちに
全然気づけなかったんだ。