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□じゃまもの。
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「獄寺って眼鏡似合うよな」
「…え」
眼鏡をかけながら
黙々と雑誌を読んでいる俺に
山本がぽつりと呟いた。
「…何だよいきなり」
「いやぁ、似合うなーって思って」
「気持ちわりーこと言うなよ」
そんな辛辣なコトバを吐いたけど
誉められて嬉しくないわけはなく。
照れ隠しに、そっぽを向いた。
「─、でも」
そう一言零したかと思うと、
山本がゆっくり俺に近づいてくる。
「でも、さ」
「─な、に……んっ、」
呆気にとられていると、
山本に唇を奪われていた。
「う、んん…っ」
俺の舌を焦らし気味に擦り、
好き勝手に俺の口内を荒らす。
拒否できない自分を、
結局受け容れてしまう自分を、
とにかく憎らしく思った。
行為はだんだんと激しさを増していく。
「、あっ」
その拍子に、眼鏡が外れて
床に落ちてしまった。
そして、それと同時に離れていく唇。
はぁ、はぁ、と肩で呼吸をする俺に
山本はにこやかに口を開いた。
「─でも、キスの時邪魔だよな!」
「な…っ」
そして、何事もなかったかのように
鼻歌を歌いながら
再び漫画を読み始めた。
翌日、山本の顔には痛々しい
青アザができたにも関わらず、
山本はずっと上機嫌だった。
fin.