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□これが俺の愛し方
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いつからだろう
あいつが誰かと笑っていると
胸が苦しくなったのは
いつからだろう
あいつが誰かに触られると
そいつを殺したくなったのは
いつからだろう
あいつが誰かと話していると
無性に苛立つようになったのは
いつからだろう
俺だけのものにしたいと
思うようになったのは──
それはきっと、ずっと前から
心のどこかで思ってた。
口や態度にはなるべく
出さないように心がけた。
あいつを困らせたくはなかったし
第一、あいつには恋人がいた。
皮肉にも、俺の親友だ。
届かなくてもいいから。
伝えられなくてもいいから。
だから、もう少しだけ
思わせてくれないか?
お前が誰かと笑っていると
胸が苦しくなるだけだから。
お前が誰かに触られると
そいつを殺したくなるだけだから。
お前が誰かと話していると
無性に苛立つだけだから。
お前を、俺だけのものに
したいって思うだけだから。
──届くことはない、愛だから。
fin.