novel
□ずっと一緒。
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今日は久しぶりにアイツと会う約束をしていた……
ハズだったんだけど。
「…は?」
朝来たメールには『ゴメン』の一言だけ。どうしたのかと返信してみても一向に返事はなくて。
「何なんだよー…」
痺れを切らして電話をかけてみると、10コールの後に力の無い声が聞こえてきた。
『…もしもし〜』
「おい、ジロー?お前ゴメンって何だよ」
『あ、ブンちゃー…?えーと…風邪ひいちゃったみたいでー…』
呂律が回らない声を聞き、これは相当熱もあるんじゃないかと推測する。確かにこんな状態じゃ会うのは到底無理そうだ。
「おい、お前大丈夫かよ?」
『う"ー…たぶん。寝てればどうにか…なるかなー…?』
「寝てればってお前…それいつもだろぃ?医者とかには行ったのかよ?」
『んーん、昨日からうち誰もいないもん…』
どうやら昨日から家族はみんな出かけてしまっているらしい。
『ホントごめんー…』
電話口から泣きそうな声が聞こえてくる。
…そんな声出されたら何も言えなくなるじゃないか。
「あー…俺の事は気にしなくていいから。とりあえず今日はゆっくり休んどけぃ」
『んーー…わかった…』
「…それじゃ」
『うん』
話すのも辛そうだったのでとりあえず通話を切るが、やはり心配で仕方ない。
「…ったく、」
暫く悩んだ後、側にあった財布を掴む。そして適当に身支度を整えると、最寄りの駅へ向かって駆け出していた。
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